(読書記録)「ネクロポリス」

ネクロポリス 上」「ネクロポリス 下」(恩田陸//岡崎市立図書館所蔵)

冬休み読書週間。

日本と英国の文化が奇妙に融合した国「Vファー」。聖地とされる孤島「アナザー・ヒル」を舞台に執り行わられる伝統行事の「ヒガン」。

「ヒガン」期間中の「アナザー・ヒル」には、死者が質量をもって現れるという。
日本人大学生ジュンは、「ヒガン」に参加するため、「アナザー・ヒル」行きの切符を手に入れた。

恩田陸さんの長編サスペンスホラー。
巨大な密室と化した「アナザー・ヒル」に、もたらされる死体。蘇った死者である「お客さん」。変容する世界。

舞台設定はゴシックファンタジーなんだけど、前半に舞台設定に関する説明が少なく、設定を理解するまで少し時間がかかるかも。
人名に日本名、日本的アイテムが盛り込まれているため、完全なファンタジーと把握するまでに時間がかかるのかなー。

比較的綿密に描かれた前半〜中盤と、ざっくり書かれている終盤。
今後を匂わせるラストは、とってつけたよう。
下巻中盤までは楽しく読めるだけに、残念である。

人を引き込ませる可能性は感じる作品なんだけど…。
設定の理解しにくさや妙な日本風設定によるとんでも感で現実に引き戻されてしまう。日英融合文化は、別にお話にいきてこないしなぁ。

全体としても下巻後半の安直さで大減点。
可能性を感じるだけに、よけいに残念な作品でした。