2015-01-01から1年間の記事一覧

【読書197】不連続の世界

「不連続の世界」(恩田陸/幻冬舎) 中性的な雰囲気で捉えどころのない音楽プロデューサー多聞を主人公に、時代を変え、場所を変え、トラベルミステリーのエッセンスを加えたセミオカルトな短編が5編が収録されている。◆木守り男 まだ二十代だろう、多聞と友人…

【読書196】壊れた脳 生存する知

「壊れた脳 生存する知」(山田規畝子/角川ソフィア文庫) 病をきっかけとして、性格、人格が変わってしまう・・・。都市伝説のように稀に聞く話だが、そのようなことは実際あるのだろう。 アルツハイマーをはじめとする認知症や、脳の病気、怪我など原因とさ…

【読書195】羆撃ち

「羆撃ち」 (久保俊治/小学館/ひたちなか市立図書館書蔵) 猟師の登場する話、猟師を描いた話を読んだことはあるが、猟師自身が一人称で書いた文章は初めてである。 兼業ではなく専業、しかも羆を専門とする日本で唯一のハンター。 不思議なプロファイルであ…

【HM】帽子とポシェット

カバンブームがきた子のためにポシェットを作りました。 半円形でマチが2cmの蓋つきです。肩紐は普通の綿紐。 もう少ししたらボタンの練習にもなるように、大きめのボタン、大きめのボタンホールにしてあります。 気に入ったのか、気づくと装着したり、中に…

【読書194】壊れたおねえさんは、好きですか?

「壊れたおねえさんは、好きですか?」(中村うさぎ/文芸春秋) 仕事も金もあるし、パートナーも、友人もいる。 だけど、自分には性的魅力がない?! フェロモン、性欲、性的趣向。下ネタ満載のぶった切りエッセイ集だ。整形やホスト通いといった行動、本作に…

【読書193】黄泉坂の娘たち

「黄泉坂の娘たち」(仁木英之/角川書店/ひたちなか市立図書館書蔵) 現世と狭間にある黄泉坂。 現世への執着心から坂を越えられず、変調をきたした魂はやがてマヨイダマとなってしまう。 そこで無念の魂が現世の障りとならぬように、無念を断ち切り黄泉坂を超…

【読書192】ゴーストハント 7 扉を開けて

「ゴーストハント 7 扉を開けて」(小野不由美/幽BOOKS/ひたちなか市立図書館書蔵) 思うにゴーストハントシリーズは、大きく二つに分けられる。学校の怪談、と、館の怪談である。 最終巻である本作は、学校を舞台にした館の怪談、といえるのではないだろうか…

【読書191】ゴーストハント6 海からくるもの

「ゴーストハント6 海からくるもの」(小野不由美/幽BOOKS/ひたちなか市立図書館書蔵) 「代替わりの時に、死人が続く」。 能登の海の近傍に佇み、一族で会員制の料亭を営む吉見家には、そんな呪いが言い伝えられていた。 先代のときも、先先代の時も、多くが…

【読書190】迷宮レストラン

「迷宮レストラン―クレオパトラから樋口一葉まで」(河合真理/日本放送出版協会) 本を読んでいて、この人はどんなものを食べていたのだろう?と疑問に思うことはないだろうか。 あるいは物語に出てくる美味しそうな料理が、実際はどんなものか想像がつかなか…

【読書189】営繕かるかや怪異譚

「営繕かるかや怪異譚」(小野不由美/角川書店/ひたちなか市立図書館書蔵) 怪奇現象との共存。それはありえるのだろうか。 気にしなければいいとはいっても、気になるから怪奇なのだ。家鳴りも木の継ぎ目が軋む音、と納得してしまえばそこに妖怪や怪異の入り…

【読書188】ゴーストハント5 鮮血の迷宮

「ゴーストハント5 鮮血の迷宮」(小野不由美/ひたちなか市立図書館書蔵) 元首相の所有する屋敷で「謎の失踪者」が発生した。しかもそれを捜索にしにきたものの中からもさらなる失踪者が出ているという。 調査のためにSPRと集められたその他いつものメンバー…

【読書187】レパントの海戦

「レパントの海戦」(塩野七生/新潮文庫) 地中海三部作と言われる一連の作品の最終作。 本作ではコンスタンティノープルの陥落から118年後、前二作では脇役であったヴェネチアを主軸に西欧キリスト世界VSオスマン・トルコの、最後の海戦が描かれる。政治は血…

【読書186】すごい毒へんな毒

「へんな毒すごい毒」(田中真知/技術評論社)生物毒、人工毒、麻薬に薬…。人体に影響を与える化学物質は既知ものだけでも星の数ほどあり、未知ものものまで含めればその数は計り知れない。 本書では「毒」をテーマに、その詳細を2-3ページで紹介する理系雑学…

【読書185】ロードス島攻防記

「ロードス島攻防記」(塩野七生/新潮文庫) ドルチェと呼ばれるほどの甘い気候、薔薇の咲き乱れる古代文明の気配を感じる島、ロードス。 エジプト・シリアを手中に収めたトルコにとっては内海と呼べる東地中海に位置しながら、キリスト教の宗教軍である聖ヨハ…

【読書184】イスラームの世界地図

「イスラームの世界地図」 (文春新書/21世紀研究会) 「イスラム原理主義」、「イスラム過激派」、ニュースを賑わすそんな単語に、なんとなくイスラム=過激で怖いもの、というイメージをもっていないだろうか。本書はしかしイスラームについて、私たちは何を…

【読書183】ゴーストハント4 死霊遊戯

「ゴーストハント4 死霊遊戯」(小野不由美/メディアファクトリー/ひたちなか市立図書館書蔵) 前巻に引き続き学校が舞台となる本作。 科学的解決、本格ミステリー調の古い怨霊、超能力ときて本作のテーマは呪いだ。 2巻目に続いて、正統派のゴーストバスター…

【読書182】白蓮れんれん

「白蓮れんれん」(林真理子/集英社文庫)歌人柳原白蓮。本名伊藤菀子(れんこ)。 華族の妾腹の子として生まれながら、九州の石炭王伊藤伝右衛門に嫁ぎ、人妻でありながら、社会運動家で法学士だった宮崎龍介と恋仲になりやがて駆け落ち同然に出奔する。 姦通罪…

【読書181】文明を変えた植物たち ーコロンブスが遺した種子

「文明を変えた植物たち―コロンブスが遺した種子」(酒井伸雄/NHK出版/ひたちなか市立図書館書蔵) コロンブス以降、ヨーロッパ世界には新大陸原産の数々の植物がもたらされ、現代文明の礎となった。 その中でも影響が大きかったと思われる6つの植物が、ジャガ…

【読書180】魔女の宅急便6 それぞれの旅立ち

「魔女の宅急便 〈その6〉それぞれの旅立ち」(角野栄子/福音館創作童話シリーズ) 魔女の宅急便5 魔法のとまり木より15年。 キキとトンボさんの間には双子の姉弟が生まれていた。本作はこの双子が主人公である。 姉のニニと弟のトト。二人は11歳。本当なら、…

【読書179】魔女の宅急便5

「魔女の宅急便〈その5〉魔法のとまり木」 (角野栄子/福音館創作童話シリーズ) トンボさんとの恋の行方、結婚式のヴェール、変わっていくジジ、そしてサヤオさん。 キキの物語はこれでおしまい。 長い長い思春期のトンネルを抜けて、最終話にふさわしい大円…

 【読書178】オーケンののほほんと熱い国へ行く

「オーケンののほほんと熱い国へ行く」(大槻ケンヂ/新潮文庫) インドへの取材旅行記、そしてタイへのバックパッカー体験旅行記の2編からなる旅エッセイ。 旅エッセイとしては、可もなく不可もなくな感じなのだが、熱い国ならではの徒労感が伝わってくるのは…

【HM】ブルードッドのニッカーボッカーズ

年末に調達してきた記事でパンツを作りました。 型紙はパターンレーベルさんの本から。 「パターンレーベルの子供服ソーイング LESSON BOOK」(片貝夕起/ひたちなか市立図書館書蔵) この本、サイズが100からだったので100で。 80がジャストサイズな子にはかせ…

【読書177】彼女のこんだて帖

「彼女のこんだて帖」(角田光代/講談社) 食べることは生きること。 本書は誰かの日常のなかにある食事がモチーフの連作短編集である。ある話の脇役が主人公となって次の物語へと繋がっていく様子は、まるで、日常の家庭料理のようだな、と思った。 なんだか…

【読書176】三島由紀夫―剣と寒紅

「三島由紀夫―剣と寒紅」(福島次郎/文芸春秋) 若くして名を馳せ、文壇、芸能にと活躍し、最後は割腹自殺という壮絶な死を遂げた文士、三島由紀夫。 その同性の情婦であった福島次郎視点での三島由紀夫を描いた作品が本作である。「三島文学を理解する上での…

【読書175】ショッピングの女王

「ショッピングの女王」(中村うさぎ/文芸春秋) 消費は快楽だ。それは間違いない。 動機はどうであれ、経済状態がどうであれ、価格がどうであれ、消費は快楽なのだ。モノを買うという消費行動自体が、私にとって快楽なのである。そして残るのは、ガラクタの山…