(読書記録)「白蝶花」

白蝶花
(宮木あや子/新潮文庫)

宮木さん作品の中では「花宵道中」、読後感では「雨の塔」に近い。
時は大正から昭和、今とは異なる身分制度、社会常識の中で生きる女性たちの恋愛連作集。

出征、戦死、あるいは癌…。
さまざまな理由によって、見事に男性の姿ははじき出されている。

連作集となっているけど、比重的にはプロローグ/本編/モノローグという構成に近いかなと思っています。
登場人物たちの由来を描くプロローグ。
各人の一応の結論に触れながら、戦中、身分違いという舞台での少女を描く本編。
そしてそれらは現在という、モノローグをもって完結する。

宮木さんは百合モノを書かせたら天才だなと思う。
少女と女、救済と救われなさが同居して、艶やかな世界観である。