【読書087】「女は「依存」で、いやされる。」

女は「依存」で、いやされる。」(衿野未矢/PHP文庫)

ずいぶん昔に買った本の再読だけど、書評を上げていなかったようなので。
素人目線で女性たちの「依存」を実例を交えて紹介し、依存の背景やその乗り越え方のポイントを記したもので、軽い読み口で読みやすいけれど、「依存」について学びたいという方には物足らないと思う。

病理的な意味での依存症を取り扱ったものではなく、内容としては自己啓発本に近い。
規則正しい生活をして、適度な距離感で人付き合いをして、ときどきは愚痴をはいて(弱みを見せて)。
それでも訪れる危機的状況の時には「適度に依存すること」を自分に許して、負のループにはまらないように生きていきましょうよ、という本だ。

アルコール、買い物、ケーキバイキングにギャンブル。
夢中になることでストレスを解消していたはずの対象が、いつの間にか、ストレス源になる。
夢中となる対象は様々であるけれど、夢中である対象に起因する日常生活の破綻が大きな理由だろうか。

人間関係の破綻、経済的な破綻、健康状態の破綻。
そもそも、大きなストレスがあって、何かに依存していくのだから、他の何かが破綻したからと言って簡単に抜け出せるものでもなかろう。
「何かが破綻した」というのは、むしろ「より大きなストレスを抱える状況」になったと言い換えることもできる。

ではどうやってその状況から抜け出したらいいのか。

結局のところ、似たような状況に身を置きながら、「大変だと愚痴をこぼしつつ、けっこう楽しそうにやりすごす人」と、「負のスパイラルにはまりこみ、生きづらさを抱えてしまう人」との分岐点は、″気の持ちよう"にある。(13ページ)
本書とも共通するが、規則正しい生活と、自分の危機を自覚すること。そして、結局最後はこれであろう。そしてこれが一番難しい。
依存することや苦しみをオープンにすること。平常時でもハードルの高いことを、危機の中で己に許すのは難しいと思うが、負のスパイラルにはまらないために、心に留めておきたい。

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