【読書130】校閲ガール

校閲ガール」(宮木あや子/KADOKAWAメディアファクトリー/図書館)

久しぶりに宮木あや子さん作品。

タイトルの通り、主人公の河野悦子は出版社で校閲の仕事をする校閲ガール。ファッション紙をこよなく愛し、ファッション紙編集部への異動を夢見ながら、ひたすら地味に文章の間違い探しに明け暮れる毎日である。
ファッション誌にしか興味がないお馬鹿な子、である一方、ファッション誌に書いてあることならばほとんど覚えている、という驚異の記憶力を持つ。

働く女子をモデルにした現代小説という意味では「憧憬★カトマンズ」に近い。
「憧憬★カトマンズ」よりももう少し年齢層が低くて、個人的には「いるいる、こうゆう後輩。」とちょっとうんざり気分で読んだ。

女性じゃなくて女子な感じ。
「憧憬★カトマンズ」の時も感じたけれど、この手の女性を書かせたらピカイチ、上手だなぁと思う。
本書の中で、「大物小説家の書く女子大生の言葉使いが古めかしすぎてリアルじゃない」というシーンがあったけど、宮木さんの小説はその真逆を行く。
主人公が強くて正しくて、とてもデフォルメされた漫画的な表現なのに、業界が違っても「いるいるいるいる」と思わず首を縦に振りたくなるような、不思議なリアリティだ。

そんな宮木女子、河野悦子が言いたいことはバンバン言って、軽く謎解きしてみたり、イケメンにときめいてみたり、テツパンこと藤岩の人生感を変えてみたりするのが本書だ。最後は「憧憬★カトマンズ」と同じく女子会大円満で終わる。
主人公が鼻についてしまったせいで、「そううまくいってたまるか」と思ってしまった。

面白かったのだけど、先に「憧憬★カトマンズ」を読んでしまっていると、ちょっと見劣りするかなぁ。
その辺は本書自体の問題よりも読み手側の問題である気がする。