【読書191】ゴーストハント6 海からくるもの

ゴーストハント6 海からくるもの」(小野不由美/幽BOOKS/ひたちなか市立図書館書蔵)

「代替わりの時に、死人が続く」。
能登の海の近傍に佇み、一族で会員制の料亭を営む吉見家には、そんな呪いが言い伝えられていた。
先代のときも、先先代の時も、多くが死んだ。そして今また、代替わりの時なのである、と。

知っていても思わず口を閉ざさずにはいられないような、連続の不審死。
依頼を受けて能登を訪れたSPRといつものメンバーたちは、調査を進めていくうちに、呪いの歴史が古いこと。呪いのはじまりでは吉見家ではないことに気づく。

麻依の夢、文献調査からいくつかの可能性が示唆されるが、その全てが調査が困難なほど古い。
立川信仰、異人殺しの伝説、駆け落ち伝説…、民話や伝承に残る、過去の無念の気配。怪しいことが多すぎるのだ。
果たして、真犯人は何なのか。
判明したのは、かつてないほど壮大な怪異の正体だった。

本来なら探偵役となるナルが、序盤から不在となるため、いつもよりも謎解きの要素が強い。
飛び抜けてはボーサンと綾子だろうか。

怪奇の原因は、死霊ばかりではない。
生者の思惑や意図せぬ超能力が介在している場合もあるし、もとは人であった、もはや死霊の域を超えた存在や、今回のように、流れ着いた「神」が黒幕の場合もある。
怪異のタイプも色々だ。
一匹狼タイプ、他者を喰う蠱毒、そして他者を使役するタイプ。
生きている者を殺すために殺す者、仲間にするために害するもの、結果的に障りとなってしまうもの。
当然、祓う方法も多岐に渡る。加えて、祓う能力自体も、実に様々なのだ。

そう、本巻で大活躍するのが正に、発動に特殊条件持ちでの能力者である綾子である。
そういう意味では、超能力とも通じるが、発動条件が揃わずに、己の能力に気付かぬまま、能力と決別するというパターンは多いのかもしれない。

グロテスクな描写も含めての、小野不由美ワールドを満喫できる。最終巻が楽しみである。