(読書記録)「魚神」

魚神」(千早茜/集英社文庫)

本土から隔離された島。イメージ的には明治とかその辺の時代の変革期の頃。

かつては一大遊郭が立ち並ぶ島で、遊女になるべく育てられた白亜と弟のスケキヨ。
隔離された空間に育まれた独自の文化。子供時代から大人になるまで続いてしまう人間関係。夢喰い獏や雷魚の伝説。
島一番と評判になるほど美しく成長した白亜。薬の知識を習得し、瞳に暗い光を宿すようになるスケキヨ。
スケキヨの酷薄さと白亜の現実感のなさが本作の一つの魅力かなぁ。

蓮沼がかっこよすぎて、個人的にはラストが蛇足。
一応ハッピーエンドなんだろうけど、無理に幸せに結ばなくてもよかったんじゃないかと。
何シーンか前の、生きるか死ぬかあたりまでだったら、傑作だと思う。

系統的には「花宵道中」に近いかな。
遊女小説面白いね。現実にはなりえなく、耽美という意味ではBL的な面白さがあると思う。