【映画】南極料理人
「帰りたいわ。西村さん、一緒に脱走しない?」西村さんの笑顔にキュンキュンした。
「どこに?死ぬよ?」
西村さんってか堺雅人、イケメンすぎるだろ…。
原作とはまったく異なるお話ではあるのだけれど、原作にあった大人達の悪のり感そのままに、おにぎりをデリバリーすれは凍りつき、伊勢エビでエビフライを作り、芯の残ったインスタントラーメンをすする、氷点下54℃、水が85℃で沸騰するほど低い気圧。アザラシやペンギンは愚かウイルスさえも死に絶える。雪はあるが水はない。南極ドーム基地フジでの越冬物語。
地味な絵が延々と続く映画である。基本8人のおっさんたちが、しかも段々、髪は伸び放題の髭面化。まったくもって酷い。
美味しそうな料理の数々はもちろんだが、隊員達にストレスが溜まっていく様子、一触即発の気配、思わぬ爆発。
コメディでも、ヒューマンドラマでもない。かといってドキュメンタリー風でもない。
完全に雰囲気映画なんだけど、後半にかけて時折漂う剣呑な雰囲気もあいまって、フィクション感と妙なリアリティのあわさった、ハイバランスな、いい映画だと思う。