【読書170】魔女の宅急便

魔女の宅急便」(角野栄子/角川文庫)

スタジオジブリによって映画化もされた、児童文学の名作である。
ずっと読みたいと思っていたのだが、どうしても映画のイメージが先行してなかなか手を出せなかった作品なのだが、文庫化されたのをいい機会とばかりに購入してみた。

魔女のキキは13歳。魔女のしきたりにしたがって、13歳の満月の夜に独り立ちするために黒猫のジジとともに魔女のいない街へと旅立つ。

降り立ったのは生まれ育った街よりもずっと大きなコリコの街。
キキは初めて見る海と時計台のある都会で、宅急便屋さんをはじめる…。

映画版よりも少し大人っぽくて、思春期に入りかけの正に「少女」キキがなんだかとても可愛らしいくていじらしい。
旅立ちから初めての里帰りまでの一年を描いた一冊目は、「落ち込んだりもするけど、わたしは元気です」のキャッチコピーそのもの、大人の階段を一段登り始める素敵な成長物語だ。

キキが生まれた街で、木にぶつからないように取り付けられた鈴。
魔女の娘が生まれた時から飼い始め結婚する時には自然と別れる黒猫。
お母さんのほうきと新しいほうきのハイブリッド。
新しいほうきで下手に飛んでいたらあがる好感度。
街ごとに異なる年越しの風習。

一つ一つの情景が、なんだかとても健やかで明るい感じがして、いい。

今まで読まずにいたのがもったいない。
大人になった今、改めて楽しい児童文学だった。