【読書171】魔女の宅急便2 キキと新しい魔法

魔女の宅急便 2 キキと新しい魔法」(角野栄子/角川文庫)

魔女を生業とする14歳の少女キキの成長物語。二冊目。

「赤い靴」や「黒い手紙」は、清々しく結ばれているけれど、重いテーマを扱っている。
一巻の少し浮き足立った雰囲気は減って、新しい街で自分にできることできないこと、したいことしたくないことを模索していくキキ。
スランプ、故障、魔女ならではの視点。
生活に慣れて余裕がでてきたからこその、次の仕事・・・。

児童文学であり、児童を対象に書かれた作品なのは疑うべくもないのだけど、キキの苦悩は、新社会人となった人にも通じるものだ。
はじめて独り立ちをし自ら働いて生活の糧を得ること、ちょっと生活に慣れて自分の仕事の意味、そして自分ができることを考えること。
もう大人への準備が始まるんだよ、と警鐘を鳴らされているような感じ。

現実では必ず上手くいくとは限らない。だけど児童文学である本作だから最後はきっと上手くいく。
そんな安心感が少し気持ちを楽にしてくてる、そんな作品だった。