【読書019】「私は障害者向けのデリヘル嬢」

私は障害者向けのデリヘル嬢」(大森みゆき/ブックマン社)

セックスボランティア」などで徐々に認知されるようになってきているとはいえ、タブー視されがちな「障害者の性」の問題。
それを「障害者専門」という会員制デリバリーヘルスで働いていた筆者の手記。

障害の程度も、デリヘルを呼ぶ状況も、周囲の人間も様々な「お客様」。
健常者とは四肢の自由度が異なることや、介護と性で他人との接触度が違うことに由来すると思われる衛生状態の捉え方の違い、それによる抵抗感が、ものすごくリアルな感じがした。

ただ、他の風俗ルポを読んだときに感じる風俗嬢たちの甘さ、依存心の強さあるいは考えの足りなさが本書の筆者にも見え隠れする。
人によってはそれが、不愉快に感じるかもしれない。
第一章の「それしかなかった」や第二章の「再び風俗へ」のあたりは特にそれが顕著だ。

風俗勤めを開始する直前の筆者が、精神的/金銭的に追い詰められていたのは確かだろう。しかし、追い詰められていたからといって風俗に勤めない人のほうが多いし、そうなる前に何らかの対策を講じるか、そうなってしまった後でも他の手段をとる人間のが多いのだ。
実際、本書に書かれたデリヘルの仕事も無断欠勤で辞めた挙句、会社側への文句を書いているあたり、常識のなさを感じてしまう。

私自身、筆者に対する不快感はあるが、障害者の性を風俗ビジネス側の、しかもサービスを行う人間から見たルポという意味では貴重な体験本だ。
なので、表題と関係のない一章、二章を読み飛ばして読むことをお勧めする。