【読書180】魔女の宅急便6 それぞれの旅立ち

魔女の宅急便 〈その6〉それぞれの旅立ち」(角野栄子/福音館創作童話シリーズ)

魔女の宅急便5 魔法のとまり木より15年。
キキとトンボさんの間には双子の姉弟が生まれていた。本作はこの双子が主人公である。
姉のニニと弟のトト。二人は11歳。本当なら、魔女の後を継ぐならば、魔女の修行を始めなければいけない年齢。

全6冊を読み切ったうえで、あえて言うが、私はキキが嫌いである。
1、2巻の可愛い一生懸命なキキを見たくてここまで読み進めてきたから、残念である。

思春期入りかけ、だけど将来を決めないといけないという選択を迫られるニニ。
トトは魔女の娘というだけで、特別扱いなニニが気に入らない。

ギクシャクする気持ち。
少しづつ大人になっていく二人。
親子、姉弟、外部との関係の中で、徐々に成長してゆく二人。
そして、13歳の誕生日。独り立ちの日を迎える…。

ニニはキキに似ている。トトはトンボさんに似ているかというとそうでもない。
トトを見ていると、キキ以外の周りの多くの人々が、キキをいさめ、トトを慰めてきたんだろうなぁ、となんとなく思う。
そして、ニニだってそんな状況は居心地が悪い。
機能不全家族、とまではいかないけれど、「魔女であり母であるキキ」という存在が、子どもたちに影響を与えてしまっているのは疑いない。
ニニへの期待が、ニニのプレッシャーになり、トトの疎外感になる。
なのに、表面上は平等というポーズをとる。

差をつける理由のすべてが魔女のカン、つまりはなんとなく、ですまされてしまったら、やっぱり納得できない。