読書

【読書162】マンモスを科学する

「マンモスを科学する」(鈴木直樹/角川学芸出版/ひたちなか市立図書館書蔵) いまからもう10年近く前、2005年3月から愛知県で開催された万国博覧会、「愛・地球博」の最大の呼び物の一つ「冷凍マンモス」の展示。 その冷凍マンモスを万博で展示するに至る経緯…

【読書161】気候が文明を変える

「気候が文明を変える」(安田喜憲/岩波書店/ひたちなか市立図書館書蔵)環境考古学的見地から、文明の繁栄と衰退を論じた一冊。 古い本ながら、現在の流行りである複雑系としての文明論に通じるエッセンスがたくさん含まれている。花粉分析は古典的手法ながら…

【読書160】0~5歳児の発達と保育と環境がわかる本

「0~5歳児の発達と保育と環境がわかる本」(大竹節子/ひかりのくに) いかにして遊び、いかにして過ごすか。家庭内で保育することと、保育園での保育。対集団である保育園と対個人である家庭で、もちろん違いは大きいだろうが、保育園での過ごし方を家庭での保…

【読書159】京都怪談 おじゃみ

「京都怪談 おじゃみ」(神狛しず/メディアファクトリー/ひたちなか市立図書館書蔵) 表紙とタイトルから何故か妖怪物だと思い込んで借りてきたのだが、タイトルにもある通り、怪談物である。 舞台は京都、言葉も京都弁で語られるぞくりとする短編集である。怪…

【読書158】漂流するトルコ―続「トルコのもう一つの顔」

「漂流するトルコ―続「トルコのもう一つの顔」」(小島剛一/旅行人/水戸市立見和図書館所蔵) 「トルコのもう一つの顔」が旅行記、フィールドワークの記録としての側面を持っていたのに対して、随分と政治色の濃い一冊であった。トルコに事実上存在していなが…

【読書157】海の翼

「海の翼」(秋月達郎/新人物往来社/守谷中央図書館所蔵) 「いいでしょう」 ビルセルは、即座に快諾した。 「至急、日本人を救うための航空機を派遣してもらえるよう、本国に電報を打ちます」(109ページ)たったこれだけのセリフに、思わず涙がこぼれそうにな…

【読書156】文明は農業で動く

「文明は農業で動く」(吉田太郎/築地書館/茨城県立図書館所蔵) 近代農業は石油で動く工業だ(2ページ)化学肥料と農薬、販売種子に依存し、多量の水を消費する現代農業への批判とともに、「持続可能な農業」が叫ばれて久しい。その言葉自体、手垢にまみれた感…

【読書155】乾物と保存食材事典

「乾物と保存食材事典」(星名桂治/誠文堂新光社/ひたちなか市立図書館書蔵)電子版でも図書館でもなく、紙の本を買って、手元に置いておきたい本である。とても面白い本だから、と言うわけではない。タイトルからも明確であるが、本書は日本国内のものを中心…

【読書154】おとぎ話の生物学

「おとぎ話の生物学―森のキノコはなぜ水玉模様なのか?」(蓮実香佑/PHP研究所/ひたちなか市立図書館書蔵) かちかち山や桃太郎、白雪姫…。おとぎ話の世界には、現代の常識でははてなマークが浮かんでしまうような設定があふれている。寿命を閉じ込めた玉手箱に…

【読書153】福袋

「福袋」(角田光代/河出書房新社/ひたちなか市立図書館所蔵) 開けてみるまで、中に入っているのが福なのか鬱なのかわからない。人は福袋のようなものを持って生まれてくるのかもしれない。本書は8編の短編集である。預けられた箱、家の前に放置された紙袋、…

【読書152】自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝

「自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝」(/紀伊國屋書店/ひたちなか市立図書館所蔵) 使命感、知的好奇心、自分への挑戦…などなど。動機は様々なれど、なにかに突き動かされて己の身体で実験し始める人々がいる。 患者の血液を接種して死に至った医師、…

【読書151】トルコの幸せな食卓

「トルコの幸せな食卓」(洋泉社/ひたちなか市立図書館所蔵) オリーブ、チーズ、ヨーグルト、ラク、羊に鳥。メロンにイチジク。豊富な生鮮食品に、豊富な家庭料理、屋台料理の数々。「私が支配者だったらこの土地が欲しい!」 それが私がトルコを旅行した際の…

【読書150】空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む

「空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む」(角幡唯介/集英社/ひたちなか市立図書館所蔵) プロローグを読み終えた時、なんだかドキドキした。 極上の冒険小説の、あるいは、歴史上の大冒険家の手記の、序章読み終えた気分、とでも言おうか…

【読書149】H5N1―強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ

「H5N1―強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ」(岡田晴恵/ダイヤモンド社/ひたちなか市立図書館所蔵) 鳥インフルエンザH5N1型。主に呼吸器系に疾患をもたらす弱毒性のインフルエンザとは異なり、H5型のインフルエンザウィルスは強毒性を示す…

【読書148】泥ぞつもりて

「泥(こひ)ぞつもりて」(宮木あや子/文藝春秋/ひたちなか市立図書館所蔵) 清和、陽成、そして宇多…。平安時代前期、三人の天子の影にあった後宮の女たち。 そこに藤原家の思惑も絡み合って、濃密な時の流れる愛憎劇である。 短編形式でまとめられているが、…

【読書147】群青

「群青」(宮木あや子/小学館/ひたちなか市立図書館所蔵) ピアニストの由起子は病気療養のために訪れた島で漁師の龍二と出会い恋に落ちる…。 やがて女の子を身ごもり、だが、病のために父子を遺して帰らぬ人となった。 龍二と涼子、二人の親子をベースに、島…

【読書146】 すばらしき特殊特許の世界

「すばらしき特殊特許の世界」(稲森謙太郎/太田出版/ひたちなか市立図書館所蔵) 越後製菓VSサトウ食品の切り餅特許戦争。最近ではアップルVSサムソンの特許戦争。 特許ネタがニュースを賑わせるようになってきた。出願者や出願内容がちょっと「特殊」な特許…

【読書145】コウノドリ2

「コウノドリ(2) 」(鈴ノ木ユウ/モーニングKC) 一巻が良かったので既刊を一気買いしてしまった。2巻目は人工妊娠中絶をテーマにした「未成年妊娠」、先天性異常である「無脳症」、陣痛室外での出産である「被膜児」、そして「喫煙妊婦(前編)」の四話が収録さ…

【読書144】 そして、奇跡は起こった! シャクルトン隊、全員生還

「そして、奇跡は起こった!―シャクルトン隊、全員生還」(ジェニファー・アームストロング/評論社/ひたちなか市立図書館書蔵) 求む男子。至難の旅。 僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証無し。 成功の暁には名誉と賞賛を得る。アーネ…

【読書143】コウノドリ1

「コウノドリ(1)」(鈴ノ木ユウ/モーニングKC) 謎のジャズピアニスト、ベイビー。彼のライブでは2時間を超える演奏がなされることもあれば、わずか10分、激しく演じられることもある。 果たしてその正体は、施設育ちの産婦人科医、鴻鳥サクラ。本作は産婦人科…

【読書142】 山賊ダイアリー5(特装版)

「山賊ダイアリー(5)特装版」(岡本健太郎/講談社) 通常版が欲しかったのだけど、通常版が売り切れていたため特装版を購入。本編の他におまけがついていました。さて、「休猟期から今年の猟期開始」の5巻は山菜からはじまった。 つくしにタンポポ、タラの芽。…

【読書141】Google Earthでみる地球の歴史

「Google Earthでみる地球の歴史」(後藤和久/岩波科学ライブラリー/ひたちなか市立図書館書蔵) 「GoogleEarth」、それはGoogle社が提供している無料の地球儀ソフトウェアである。 世界中の衛生写真を地図上に貼り合わせて、あたかも地球儀であるかのように、…

【読書140】ガラシャ

「ガラシャ」(宮木あや子/新潮社/ひたちなか市立図書館書蔵) 細川ガラシャ。戦国時代から安土桃山時代にかけてのキリシタンとして著名な人物であるが、本書は細川ガラシャ、というよりは、明智玉子の物語である。キリスト教徒であった彼女、ではなく、彼女の…

【読書139】春狂い

「春狂い」(宮木あや子/幻冬舎/ひたちなか市立図書館書蔵)美しい少女は、その美しさ故に、子供であることを失い、父を失い、家族を失い、居場所を失い、自身を失った。 人より優れた容姿に向けられる好奇の目。子供であるが故に出される手。女であるために救…

【読書138】日本の恐竜図鑑:じつは恐竜王国日本列島

「日本の恐竜図鑑:じつは恐竜王国日本列島」(宇都宮聡・川崎悟司//ひたちなか市立図書館書蔵) 日本国内で発掘された化石から、太古の日本に生息していたであろう恐竜をまとめた図鑑。 福島県で発見されたフタバスズキリュウ、福井県の勝山竜ことフクイサウル…

【読書137】赤ちゃんの科学ーヒトはどのように生まれてくるのか

「赤ちゃんの科学」(マーク・スローン/NHK出版/ひたちなか市立図書館書蔵) 自分の妊娠出産をきっかけに、赤ちゃんに関する本を読むようになった。 読もうと思えば科学、医学、保育、教育はてはスピリチュアルまで、対象も母体、胎児、新生児、赤ちゃんと様々…

【読書136】おっぱいの科学

「おっぱいの科学」(フローレンス ウィリアムズ/東洋書林/ひたちなか市立図書館書蔵) 乳房を前にすると大のおとなも赤ん坊並みに頭がぼんやりしてしまう。(6ページ)そう、乳房、乳、おっぱい。 みんな大好き、おっぱい。 おっぱいにまつわるあれやこれや。豊…

【読書135】パピヨン

「パピヨン」(田口ランディ/角川学芸出版/ひたちなか市立図書館書蔵) すごく久しぶりの田口ランディさん作品。スイス生まれの異端の精神科医、エリザベス・キューブラー・ロス。終末医療の先駆者でありながら、霊的な思想家であったため、医科学の世界を追わ…

【読書134】サボり上手な動物たち――海の中から新発見!

「サボり上手な動物たち――海の中から新発見!」(佐藤克文・森阪匡通/岩波科学ライブラリー/ひたちなか市立図書館蔵書) 対象を記録するという手法の発明は、従来の手法、観察では「行動」に着目しがちであるが、記録することによって「行動しない」場面の存在…

【読書133】シロアリ―女王様、その手がありましたか!

「シロアリ――女王様、その手がありましたか! 」(松浦健二/岩波科学ライブラリー/ひたちなか市立図書館書蔵) タイトルの通り、シロアリ本。 真社会的昆虫であるシロアリの生態や習性について語られた、まさしく生物体としてのシロアリ本。⚫︎シロアリはアリよ…